Customize CL50 to 80 −改造実践編−
分解開始
パーツを買ってきた日の夜からさっそくエンジンのバラシを開始した。幸いうちはアパートの一階なのでDiningにCLを入れて作業を行った。
まずはエンジンオイルを抜く。それからプラグをはずし、キャブをインマニごとはずした。次にカムチェーンのテンショナーをはずしてチェーンを緩めカムスプロケットを取る。おもむろにヘッドの4つのナットを緩め、まずは ヘッドを取り外す。燃焼室、ピストンとも思っていたより小さくてちょっと驚いた。次にシリンダを取り外す。 ここまでは特に問題ない簡単な作業だ。
次にカムチェーンを取り外すためにシフトペダル側のカバーを外す。
が、サイドスタンドを外さなければ カバーが取れない事に気づく。
仕方が無いのでスタンドを止めている4つのボルトを緩め、倒れないように頭で車体を支え ながらカバーを外す。フライホイールを外すためにローター、その他を全部ばらし買ってきた特殊工具を使って 慎重にフライホイールを外す。それから大きいプラスドライバーで最後のカバーを外す訳だが、ここで問題が発生!
そのネジは非常に硬く全く外れようとしない。しかもなめかかっている。。。しばらく悩んでからカムチェーンの 交換はあきらめることにした。店の兄ちゃんは
「交換しないと切れて大変なことになるよ」
と言っていたが、そう 簡単に切れはしないだろうと思った、、、その読みは当たった。(1年たった今も切れていない) 仕方なく今ばらした部品を元に戻す。
次にクラッチを換えるためにブレーキペダル側のカバーをはずす。またまたサイドスタンドをはずし、カバーを取る。 整備マニュアル通りに部品をはずし、買ってきた特殊工具を使って何とかクラッチ交換。こちらは特に問題なく終了。 ついでに同じ側にあるオイルポンプを強化品に交換。問題なく完了。
ふと強化オイルポンプのマニュアルを見ると「オイルの流量が増えるのでオイル通過穴をドリルで広げる事」 なんて書いてあるのを発見。
だがうちにはドリルなど無い。今考えると無茶をしたと思うのだが、家にあった先の細い棒やすりでトライすることにした。案の定、そう簡単に削れるわけはない。
あきらめかけてた時に大変な 事態が発生した。
棒やすりの頭が「ポッキリ」と折れてオイル穴を「ピッタリ」と塞いでしまった。
・・・しばらく呆然とその塞がった穴を見つめていたが、今はもう真夜中。どうすることも出来ない。気を失った。。。
改造開始1日目・・・The END
そして2日目。。。
目が覚めたら昼だった
うちのかみさんと子供はいとこの家に遊びに行くらしい。作業をするには持ってこいだ。 昨日の疲れを引きずっているが、そんな事は言って居られない。パーツを買うだけで 予算オーバーだったが、もうドリル無しでは作業が出来ない。それどころかオイル穴が塞がっていては元に戻 すことさえ出来ない。
原チャリで近くのホームセンターにドリルを買いに走る。
帰ってきてさっそく復旧作業開始。だがなかなか穴は開かない。なぜなら硬ーいやすりの先端が隙間無く穴を塞いでいるからだ。格闘すること 約10分、、、軽い衝撃とともに穴は見事に貫通した。説明書通りの穴を空け(確か2mm)無事作業を完了した。
教訓:少々コストはかかっても、ちゃんとした道具を使おう
いよいよエンジン本体の組立にかかる。ノーマルピストンを外し新しいピストンを取り付ける。ピストンピン クリップを飛ばしてクランクケースに落とさないようにウエスで塞ぎ慎重に組み付ける。
古いガスケットはなかなか落ちないが「ステッカーはがしたカッター」を使いきれいに落とす。そしてシリンダを組み込もうと思いガスケットを見ると、また問題が!
穴の位置や形状が違うではないか。。。
「ひょっとしてCLとモンキー・ゴリラ系は違うのか?」
どうするかしばしの間悩む。
仕方が無いので近くのホンダのパーツセンターに行ってCL用の ガスケットを買う事にした。
しかしパーツセンターに行くとおじさんが
「ここでは社員しか買えませんよ」などとおっしゃった。
どうやら数ヶ月目から ここで一般の人が部品を買う事が出来なくなったらしい。
しかし泣きついて、半ば無理矢理ガスケットをGet。が、家に帰り買ってきたガスケットを見るとキットに付いてきた物と同じ形状だ。
ようやく気が付いた。
ガスケットを裏返し エンジンに当ててみると「ピッタリ」フィット。。。
やはり寝不足がいけなかったのか。。。教訓:ガスケット、表があれば裏もある
作業再開。
ピストンとシリンダにオイルを塗りシリンダを取り付ける。少々硬かったが何とか完了。
次にヘッド を取り付ける。マニュアル通りにカムギアとフライホイールのマークを合わせ、カムチェーンを取り付ける。 ヘッドのナットを締める。
本来ならトルクレンチが必要だが、そんな物は無い。うちら仲間内では長年の 経験が物を言う「手ルクレンチ」が定番だ。均等に手ルクをかけ、4つのナットを締めつけ作業完了。
恐る恐るキックペダルを降ろしてみる。正常にピストン、バルブともに動いているようだ。
クラッチ側、フライホイール側の カバーを取り付け、ドレンを締めてエンジンオイルを注入する。
エンジンオイルはこれまた「ASARI氏」推奨のMOTUL 300V コンペティション(確かそんな名称)を使用。
そしてスーパートラップマフラーを装着。 ディスクはとりあえず8枚付けることにした。ステーの取り付け方にちょっと迷ったが難なく取り付け完了。
最後にキャブレターを取り付ける。
が、、、またも問題発生。アクセルワイヤーが合わない。ノーマルでは長さが 短いし先に出ているワイヤーの長さが短かすぎる。
しばらく悩む。。。ワイヤーを加工することも考えたが その前に○ップスに行ってみることにした。4ストミニのコーナーに行くと、、、しっかり売っていた、KEIHIN PC20 用のアクセルワイヤーが。
さっそく買って帰宅。無事キャブも取り付け完了。これで一通りの作業は終了した。時間は夜の8時。
キーをオンにしていよいよキックを蹴り降ろす。。。
1回、2回、3回、あっけなく始動。爆音とともにエンジンに火が入った。
しばらく感動に浸っていたが充満する排気ガスにめまいを感じ エンジンを止める。
とりあえずCLを外に出し、試乗することにした。当然ならしをしなければならないので 全開には出来ない。しかし、確実にノーマルとは違うトルク感を感じることが出来る。
排気音も少々やかま しいが最高だ。
近所を一周りした後、寒さに耐え切れず家に戻る。明日からは「ならし」の日々が続く・・・
いとこの家から帰ってきたかみさんの目が点になった。Diningのあまりの汚さに・・・
教訓:床には隙間無く新聞紙を敷いておきましょう
今回の作業一覧 (This is a case of me)
1 | エンジンオイルを抜きキャプ、マフラー、プラグを取る。 |
しっかり抜かないと後で床がどろどろになります |
2 |
カムチェーンテンショナーを緩めカムスプロケットを外す。 ヘッドのナット4つを外しヘッドと シリンダーを外す。 |
ナットは均一に緩める。ヘッドとシリンダは軽く叩けば取れる |
3 | フライホイール側のカバーを外しフライホイールを取る。本来なら大きいプラスのネジを2つ外し カムチェーンを交換するところだが今回は外れなかったのでパス! |
要特殊工具 |
4 |
クラッチ側のカバーを外しクラッチを交換。ついでにオイルポンプも強化品に交換。 そして問題のオイル通過穴をドリルでもんで2mmに広げる。 |
要特殊工具 |
5 | ピストンを交換しシリンダを組み付ける。 |
カムチェーンを通しておく。 |
6 | ヘッドを載せたらカムギアとフライホイールの合いマークを合わせてカムギアを取り付ける。 カムチェーンテンショナーも取り付ける。 |
きっちり合わせないとバルブとピストンがぶつかります(物による) |
7 | ヘッドのナットを手ルクレンチで均等に締め付ける。付けたらキックペダルをゆっくりと降ろして 正常にピストンやバルブが動くか確かめる。 |
リッチな人はトルクレンチを使いましょう |
8 | フライホイール側とクラッチ側両方のカバーを取り付ける。オイルドレンを締めてエンジンオイルを 注入。 |
エンジンオイルは高くても良いものを |
9 | プラグとマフラー、キャブを取り付ける。 |
プラグはノーマルの番数でもOK。スロットルケーブルは要交換。 |
10 | キックを数回降ろしてオイルを回す。それからイグニッションキーをオンにしてエンジン始動。 | 緊張の一瞬。あせらずオイルを行き渡らせてから火を入れましょう |
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